ノールカップは、北緯71度10分21秒に位置するヨーロッパ大陸最北端の岬です。大航海時代、イギリス人探検家がここを最北の地と定め、ノルウェー語で「北の岬(Notnoh Cape)」と名付けたことに由来します。
夏は一日中太陽が沈まない白夜となり、この現象を見るために、世界中から多くの人が集まります。もちろん、冬にはオーロラが観測できるため、年中を通して人気の観光スポットです。
朝になれば日が昇り、夕方になれば日が沈む……
この自然のサイクルを当たり前のこととして生活していると想像しにくいことですが、北極圏以北では、夏の間は真夜中になっても太陽が沈みません。この神秘的な自然現象は、北の大地、北極圏に足を運んでこそ実感できます。
今回は、ヨーロッパ大陸の北の果て、ノールカップでの白夜体験についてまとめています。
ノールカップってどこ?
ノールカップは、ヨーロッパの大地が北海へと消える北の果て、マーゲロイ島の最北に位置する岬です。北緯は71度10分21秒。札幌が北緯43度0分、東京が35度45分なので、ノールカップがいかに地球の北に位置しているかが分かります。
ノールカップへの行き方
ノールカップに向かうための拠点は、北部ノルウェーの重要な漁港、ホニングスボーグ。ノールカップ地方自治体の中心地となっている、人口2,800人の小さな町です。1954年にノールカップまでの34kmの道路が開通したおかげで、ノールカップ観光はかなり楽になりました。
それでもさすがにここまで来ると、車窓から見える景色はどんどん殺風景になります。森林限界を超えているため、木も緑もなく、生命観がまるでありません。灌木とツンドラ地帯が続き、時々トナカイが現れるだけの荒涼とした大地が広がっています。
ところどころに点在する小さくカラフルな家々は、まるでおもちゃの置物ようで現実味がなく、とても人が住んでいるとは思えません。このままバスで走り続けると、やがて大地がプツンと切れて、地の果てに落ちてしまうのではないかという恐怖感さえ覚えてしまう、そんな場所でした。
今でこそ、観光客で賑わいますが、かつては、先住民族サーメ人たちが生贄を捧げていたとされる神聖な地でもあります。
ノールカップでの過ごし方
岬の手前にはノールカップホールというレストランやお土産物屋さんが入っている施設の建物があります。ここで、真夜中0時がくるのを待つのが良いでしょう。
深夜0時を迎えても輝く太陽は地平線に沈むことなく、幻想的な光を放ち続けていた光景が印象的です。深夜も過ぎ、眠たい目を擦りながら太陽を眺めていると、ゆっくりと太陽が昇り始めていく様子が分かります。また数時間には、次の日の朝がやってくるのです。私たち人間の力が及ぶことのない、地球が織り成す神秘的な現象に感動せずにはいられませんでした。
この短い夏が終われば、今度は逆に、昼間でも太陽が全く出てこず、薄暗い日が数ヶ月続く厳しく長い冬がきます。北欧に訪れるわずかな夏は、寒さの厳しい北欧の人々にとって、まさにバカンス!夜が来ても、眠っている暇などありません。長く明るい夜を、カフェのオープンテラスで過ごしたり、ジョギングや散歩をする人たちで夜遅くまで賑わっています。
でも油断は禁物!この神秘的な自然現象は、感動と引き換えに寝不足におそわれます。
太陽が全く沈まない世界に放り出された私は、体内リズムのコントロールを完全に失ってしまいました。夕食を食べていても、昼食を食べているような感覚になったり、カーテンから差し込む光が眩しくて、はっと目覚めるとまだ深夜だったりするわけです。しかしこれもまた、真夜中の太陽を身をもって体感できる出来事でした。
北欧の短い夏を象徴する白夜。北極圏で真夜中の太陽の日を浴びる旅もおすすめです。