ディズニー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のモデルにもなった南米ギアナ高地。20億年前の地層が発見されたり、人類未踏の地が残っていることから、世界最後の秘境とも言われています。『シャーロックホームズ』を生んだコナン・ドイルが描く空想冒険小説『ロスト・ワールド』の舞台としても知られています。
ギアナ高地の見どころは、
- ロライマ山
- エンジェルフォール(アウヤンテプイ)
の2つが有名です。
エンジェルフォールは、落差979mは世界一の落差を誇り、ギアナ高地の代名詞にもなっています。
今回は、ギアナ高地のもう一つの名所、ロライマ山の山頂トレッキングについて、実際に私が2016年に歩いた際の写真とともに紹介したいと思います。
ギアナ高地ってどこ?
ギアナ高地とは、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、コロンビア、ブラジルの6つの国と地域にまたがるエリアのことです。
このエリアには、「テプイ」と呼ばれる地上からほぼ垂直にせり上がったテーブルマウンテンが点在しており、その数100以上とも言われています。
「テプイ」とは、先住民ペモン族の言葉で「神の住む場所」という意味。切り立つ断崖によって周囲と隔絶された孤高の台地は、下界と異なる生態系を生み出したミステリアスな世界が広がり、まさに神のみぞ住まうにふさわしい場所と言えます。
ひとつの「テプイ」はそれぞれ幅が数km~数百kmもあり、隔絶された台地では動植物が独自に進化を遂げました。珍しい動植物の宝庫としても知られ、ガイドさんによると植物の70%以上がこの地でしか見られない固有種だそうです。いまだ分類されていない動植物もあり、未発見の動植物がいてもおかしくない、ロマンあふれる場所なのです。
ギアナ高地の中心、カナイマ国立公園
このギアナ高地の中心をなすのが、カナイマ国立公園で、ベネズエラとブラジルの国境沿いに広がっています。
世界遺産にも登録されており、一般的に「観光でギアナ高地に行く」というと、このカナイマ国立公園に行くことを指します。
ギアナ高地の代名詞にもなっている、落差979mを誇るエンジェルフォールは、カナイマ国立公園にある「テプイ」のひとつ、アウヤン・テプイから流れ落ちる滝です。あまりに落差が大きいため、滝つぼに落ちる前に水蒸気となってしまうことから「滝つぼのない滝」とも言われます。
セスナ機などで遊覧飛行をしたり、滝の直下の展望台まで往復2時間ほどハイキングをすることできます。
アウヤン・テプイは、東京23区がすっぽりと収まるほどの面積があります。セスナ機からは、雲や水蒸気の切れ目からいくつものテプイが見下ろせ、まさに「カールじいさん」になった気分でした。
ロライマ山とは
今回紹介するロライマ山は、ギアナ高地のカナイマ国立公園にある最高峰のテーブルマウンテンのことです。このエリアのテーブルマウンテンは、先ほど紹介したように「テプイ」と呼ばれていますが、最高峰のロライマ山とその隣のクケナン山は「テプイ」とは呼ばれていません。
ガイドさんによると、その理由は信仰によるところが大きく、ロライマという言葉そのものに「偉大な」という意味があることから、それだけ特別で神聖な場所だからだそうです。
ロライマ山の山頂は、ベネズエラ、ブラジル、ギアナの3カ国にまたがっており、頂上は3カ国の国境になっています。
ロライマ山の山頂に行く3つの方法
ロライマ山は、山頂までトレッキングルートが整備されていることから、世界中の登山愛好家にも人気があります。
往復ともにトレッキングをし、山頂に1泊する場合、6泊7日の長丁場となり、それなりの体力と経験が必要です。トレッキング中は、テント泊となります。トレッキングはツアーに参加するのが一般的で、主催する旅行会社によって異なりますが、荷物や食料は専属のポーターが同行して運んでくれる場合が多いです。
往復ともにトレッキングをする体力と時間があれば問題ないのですが、そうでない人におすすめなのが、ロライマ山山頂までヘリコプターを使うヘリ・トレッキングです。
日本では、「山でヘリコプター」というと「遭難」が連想され、絶対にお世話になりたくない乗り物ですよね。
実は海外では、トレッキングとヘリコプターの合わせ技は、贅沢なアウトドアとして一般的です。たとえば、カナダではヘリコプターでしか入山できない山域に入ってトレッキングを楽しんだり、ネパールではヘリコプターを使って一気に展望のよいベースキャンプにいくツアーが人気です。
ロライマ山も、ヘリ・トレッキングができる場所なので、体力と旅行日数に応じてヘリを利用することが可能です。
おすすめは、往路はヘリを利用し、復路はトレッキングで下山する方法です。この方法だと、体力を温存しながら、下山時にはロライマ山の雄大な自然を感じることができます。
山頂にベースキャンプを張って2泊して頂上台地をトレッキングし、2泊かけて下山する4泊5日のトレッキングがいちばん 人気の日程で、私もこの日程のツアーに同行しました。
山頂に滞在する日数は自分で調整できますが、できれば山頂に2泊~3泊は取りたいところです。
まさに『ロスト・ワールド』の世界、固有種の動植物や山頂からの展望、水晶が一面に広がる谷、洞窟…など見どころは多く、何日でも歩いていたい気分でした。
数時間の滞在で去ってしまうのは、本当にもったいないです。
往復ともにヘリコプターを利用することもできますが、その場合はかなり高額になります。
ギアナ高地の山頂ってどうなっているの?豊富な写真で紹介!
前置きが長くなってしまいましたが、いよいよロライマ山の山頂を紹介したいと思います。
ヘリで出発する日の朝焼け。
右がこれから降り立つロライマ山、左がクケナン山。
ごつごつした太古の頂上台地を歩きます。
にょきにょきと生えている葉っぱは山頂で唯一食べられる葉っぱということで試しにかじってみました。タケノコの薄皮みたいでした!
まさに「ロスト・ワールド」の世界そのものでした。まるで違う惑星にいるかのようです
1955年に恐竜の目撃情報があったのもうなずける?景色が360度広がります。
前夜に降った雨で空気が洗われ、視界がとてもクリアでした。
ヘッドライトを付けて洞窟探検へいざ!
なんとここには、月でしか確認できていないバクテリアが生息しています!その因果関係とは??
現在、NASAが研究中とガイドさんが教えてくれました。
テプイには、まだ未分類の動植物も多く、未発見のものがいてもおかしくありませんね。ロマンあふれる場所です。
「ウインドウ」という名ののぞき穴から見下ろしてみます。
高度感でお尻がムズムズしました。
正面に見えるのがクケナン山。
このあと、あっという間に雲の中に隠れてしまいました。
2日間、テントを張ったキャンプサイト
うまく風雨をしのげる場所に設定してくれます。
下山1日目のキャンプサイト。
雨の中、急降下したため、下山1日目の様子は撮影できず(涙)。
目の前でクケナン山が朝日に染まっていきます。
下山2日目。
広大なグランサバンナの中を降りていきます。
下山2日目、最終日のキャンプサイト
ロライマとクケナンが一望できる絶景ポイントです。
ロライマの全貌。
ぴょこんと飛び出しいているあたりから下ってきました。
ロライマとクケナンに後ろ髪をひかれながら下山。
5日間、まるで別の惑星にいるような、冒険に満ちたトレッキングでした。
5日間お世話になったポーターさんたち
ギアナ高地 ロライマ山頂トレッキング
南米ギアナ高地のロライマ山トレッキングは、往復ともに歩くこともできますが、日数や体力面が心配な場合は、往路でヘリコプターを利用するヘリ・トレッキングがおすすめです。
山頂は、まさに「ロスト・ワールド」の世界が広がり、訪れた者だけが体験できる貴重な時間を過ごすことができます。
数時間滞在して、すぐに下山してしまうプランもありますが、それではとてももったいないです!
出来れば、2泊くらいして、ガイドと一緒に山頂をじっくりとめぐりましょう。
未確認の動植物や、はたまた恐竜に出会えるかも??
そんなロマンあふれる場所がロライマ山には残っています。