世界中を飛び回り、現場の最前線でお客様と接し、団体を盛り上げていく海外添乗員という仕事は、とてもハードで大変だったけど、私にとっては天職でした。
おかげさまで、約10年間で103ヵ国、南極にも添乗させていただくことができました。
コロナと出産が重なり、いったん添乗員という仕事から身を引いていますが、戻れるならいつだって戻りたい、そう思っています。
子育てが落ち着いたら、また添乗員として世界を飛び回りたいな~
などと考えては、妄想旅行に出かける毎日です。
そんな私だって、添乗員を辞めたい!と思ったことはあります。
それも何度だって。そして実際、1回辞めています。(また出戻ったけれど…)
この記事では、
- 添乗員を辞めたいと思うのはどんなとき?
- その気持ち、どうやって乗り越えた?
こんなことをまとめてみました♪
- 添乗員を目指したいけど、キツイって聞いて不安になっている…
- 添乗員として頑張ってきたけど、もう嫌だ…どうしよう…
そんなふうに思っている人の参考になれば嬉しいです。
添乗員を辞めたいと思った瞬間
海外添乗員として約10年間、103ヵ国を訪問した私ですが、
「添乗員を辞めたい!」
と思う瞬間はたくさんありましたよ。
それはもう、挙げればキリがないくらい…
- お客様からの評価が低い
- わがままな客や理不尽なクレームの対応
- 風邪をひいても休めない
- 体力の限界
- 友達が次々に結婚、出産…
- 休日の予定が合わない
などなど。
ひとつずつ、紹介していきましょう。
お客様からの評価が低い
添乗員は、基本的には一人でツアーを仕切っているので、同僚もいなければ上司もいません。
誰が仕事ぶりを評価するかと言えば、お客様です。
解散時にお渡しする「アンケート」の評価によって、仕事がデキル・デキナイが評価されてしまうんです。
海外添乗の場合、1週間近い頑張りを、たった1枚の紙きれで評価されてしますというのだから恐ろしい…。
「ありがとう!」「楽しかった!」とお礼の言葉をかいて下さる方がほとんどなのですが…
中には、クレームをびーーーーっしり書いて下さる方も、たまにいるんです。
しかも、ツアー中は不満もなく、楽しんでいる様に見えたのに、アンケートを開けてビックリ!
不満だらけのアンケートを提出してくる人…いるんですよ。
もうね、人間不信になっちゃいますよ。誰も信用できなくなってしまいます。
お願いです。不満があれば、その場で伝えてください…対応できることは可能な限り、対応いたしますので…
全国で頑張る添乗員さんに変わって、お願いしておきます。
わがままな客や理不尽なクレームの対応
ほとんどのお客さんはとっても優しいし、いい人なんですが、ときどき、本当にたま~に、ちょっとわがままが過ぎるお客様やクレーマーのようなお客様もいます。
そんな時は、毅然とした態度で接するのがイチバン。
というのは頭では分かっていても、理不尽なクレームだったり、無理難題な要望を叩きつけられて、精神的に滅入ってしまうことも…
特に新人のころは社会人経験も浅いし、添乗員としての経験も浅いので、どう対応したらよいのかわからず、結構打ちのめされていました。
ツアー中にホテルの部屋で人知れず悔し涙を流したこと、何度もありますよ。
お客様対応がきつくなって、添乗員を辞めてしまった同期や後輩もいますね…
添乗員は、一見華やかな仕事のように見えますが、お客様からのクレームもダイレクトに受けます。
時には自分のせいではないのに、強く言い詰められることだってあります。
- 天気が悪くて、マッターホルンの山頂が見えなかった
- 渋滞にはまって、美術館の見学時間が短くなった
こんなの、私のせいじゃないよ~
と思いながらも、お客様に寄り添うのが添乗員。
たとえ言い詰められたとしてもそのたびに心を痛めていたら、心臓がいくつあっても足りません。
ちょっとやそっとでは折れない「鉄のハート」と図太さが必要です。
添乗員は風邪をひいても休めない、代わりはいない
添乗員はとにかく身体が資本。体力勝負の仕事です。
風邪をひいても休めなしですし、自分の代わりもいませんし。
添乗員は這ってでも行け
という恐ろしい言葉を新人研修で教えられました。
これは、体調を崩しても代わりはいないから、とにかく仕事をしなければいけない、という意味です。
航空券や乗車券は、添乗員の名前で予約しているので、変更するとなると取り直し。
つまり余計にお金が発生してしまうからです。
どんなに体調が悪くても頑張らなければいけないのが添乗員。
体調が悪いまま添乗をすると
- 思ったようなパフォーマンスは発揮できない
- 綺麗な景色を見てもおいしいものを食べても全然感動できない
- とにかく身体がしんどい
そんなこんなで、当然もう辞めたいって思います。
幸い、私は添乗ができなくなるほど、体調不良になったことはありません。
でも、ちょっとっした発熱や不調、辛い生理痛…そんな状態で添乗したことは何度もあります。
私は自分の添乗に「穴をあける」ことはありませんでしたが、インフルエンザにかかってしまった社員のピンチヒッターとして、代打で添乗に飛んだことはあります。
しかも、出発の2日前に決定。行先はエチオピア。
2日後にエチオビア行きを言い渡されるなんて、人生そうそうないですよね。
ちょうどそのタイミングで予約していた旅行はキャンセルしました。
悲しかったけど、まだ行ったことがないエチオピアに行けたので、当時は
ラッキー!
くらいに思っていました。ちょっと常識の感覚を失っていたと思います。
テンヤワンヤでしたけど、何とか無事に帰ってくることができました。
そんなわけで、体調管理は大事です。
友達が次々に結婚、出産…
新卒で添乗員を3年ほど続けたころ、同級生が結婚・出産ラッシュを迎えました。
友人の結婚式に招待されたり、お子さん誕生の報告を受けると、おめでたい気持ちと同じくらい、
- 私も結婚したいな~
- 子どもができたら、添乗は無理だよな~?
と羨ましい気持ちや焦りがありました。
そのころ私はというと、添乗員としての経験を積んで、いろいろな国の添乗を任せてもらえるようになったころでした。
仕事は楽しい。だけど結婚や出産も考えたい。
でも、年間100日以上海外に添乗に出ている今の生活じゃ無理!
当時、お付き合いをしていた人がいいましたが、1年の3分の1を海外で過ごしていたので、デートもままなりません。
これはもう、添乗員を辞めるしかない!!
と考えることもありました。
実際は、結婚や出産のことを真剣に考える以上に添乗が楽しくて、結局結婚のために添乗を辞めることをありませんでした。
そして、当時付き合っていた人は、そんな自由気ままな私を放任して見守ってくれ、最終的に今の旦那となったのはここだけの話です。
今は可愛い子どもも2人います。
いやあ、人生何があるかわかりません。
休日が合わない
添乗員は人が遊んでいるときに働くのが仕事。
お盆休みやお正月休みは当然ありません。
添乗員生活10年間で、日本でお正月を迎えられたのは、たった2回です。
休日の予定が友達と会わないので、大好きな旅行もひとり旅が多くなりました。
海外旅行ともなると、1週間以上となるため、週末をはさむのがほとんど。
週末の予定は何度お断りしたかわかりません。
大切な友達の結婚式に参加できなかったり、同窓会に参加できなかったり…
なかなか友達と予定が合わなくて、いろんなイベントをお断りしているうちにストレスとなり、
もっと自由な時間が欲しい!友達と遊びたい!もう辞めてやるーーー!
と思ったことは何度もあります。
添乗員を辞めたい!と思った時にどう乗り越えていたか
添乗員を辞めたい!と思う場面は、何度だって訪れてきましたが、そのたびに思いとどまっていたのは
- 〇ヵ国訪問するまで続ける!
- 〇〇に同行できるようにする!
という気持ちが強かったからだと思います。
新しい国や地域に添乗できるのは、お客様や会社から信頼されている証拠。
同行する国数が増えていくのは、私にとっては大きなモチベーションでした。
なので、辞めたい!と思う瞬間はあっても、
- でも、まだあの国行ってないな…
- 次はあのツアーに行ってみたいな…
と思うと、すぐに辞めようとは思いませんでした。
訪問した国数が増えていくのは、単純に嬉しかったです
- 同行したツアーの年間総額を算出してみる
こんなことでも、モチベーションに繋がりました。
自分が同行したツアーの1年間の旅行代金の総額を出してみると、だいたい500万円くらいでした。
それだけの価値があるツアーに仕事として同行させていただいていると思うと、なかなか辞める決断には至りませんでした。
添乗員を辞めて、後悔した話
添乗員を辞めたい!と思う瞬間はたくさんありましたが、結局どれが決定打だったかというと、自分でもよくわかりません。
いろんな要因が重なって、大好きだった添乗員という仕事がしんどくなってしまった。
やりがいも大きかったけれど、責任やプレッシャーも大きかった。
5年間続けてきて、それなりに自信になったし、その当時で80ヵ国以上訪問して満足したし、新しいことに挑戦したい、そんな気持ちが強かったんだと思います。
新卒で入った旅行会社を5年経ったタイミングで退職しました。
海外添乗員というキャリアを辞めて、大学の留学生課で勤務することに。
土日は休みだし、定時に帰れるし、それはもう、華のOL時代到来です。
オシャレも楽しんだし(添乗先は秘境系も多く、メイクといったら日焼け止めくらいだった)、アフターファイブの飲み会も楽しんだし(旅行会社は激務すぎて無理)、何より土日が自分のために使えるなんてサイコー!
転職したばかりのころは、すっごく充実していました!
が、毎月海外に行っていた私にとって、ずっと日本で生活するのは、なんだか味気ないというか、刺激が足りませんでした。
すぐに添乗員という仕事に未練が出て、1年ちょっとで海外添乗員に出戻りました。
添乗員はとってもキツイ仕事だけど、それ以上にやりがいも大きくて、私にはそのやりがいのほうが大事だったことに気付いたわけです。
そんなこんなで、2つ目の旅行会社に転職し、またまた海外添乗員として飛び回る生活に戻りました。
ずっと続けていきたいと思っていたところで、コロナ、そして出産と重なり、今はいったん身を引いています。
でも、機会があればまたいつでも、添乗員という仕事もやってみたいなと思っています。
まとめ:添乗員を辞めたいと思うとき
今回は、添乗員を辞めたい!と思った場面と、どんなマインドセットで乗り越えていたかを紹介しました。
約10年間、海外添乗員として103ヵ国を飛び回った私ですが、ずっと前向きな気持ちだったわけではありません。
時には、もう辞めたい!!と思う場面もたくさんありました。
でも、結果的にはまた出戻ってしまうくらい、私は添乗員という仕事が大好きだったみたいです。
- お客様からの評価が低い
- わがままな客や理不尽なクレームの対応
- 風邪をひいても休めない
- 体力の限界
- 友達が次々に結婚、出産…
- 休日の予定が合わない
こんな理由で辞めたくなることはあるかもしれませんが、それ以上に添乗員の仕事はやりがいも大きく、世界を舞台に仕事ができる夢のある仕事です。
今、添乗員として活躍している人で、ちょっと疲れちゃった人は、私みたいに勢い余って辞めることのないように、じっくり考えてみてくださいね。
これから添乗員を目指そうとしている人は、添乗員はたしかに大変なこともたくさんあるけど、それ以上にやりがいも大きい仕事なので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
今回は添乗員としての熱量が溢れてしまいました…ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
不明な点があれば、問い合わせフォームからご質問も受け付けています!