添乗員が出発前にかけるあいさつ電話の例文を知りたい!
出発前の電話でいい印象を残したい!
この記事では、海外添乗員として約10年間、103ヵ国を案内してきた私が、あなたのこんな悩みや疑問を解決する方法をまとめました。
「はじめまして」の電話で、顔が見えない中でのやり取りは緊張しますよね。
だけど、お客様だって、添乗員のあなたかどんな人なのか、どんな風に対応したらよいのか、緊張しているはず。
出発前の電話は、お客様の不安や疑問を解消し、安心してツアーに参加してもらうことが目的です。
ここは、添乗員のあなたがしっかりリードし、丁寧かつスムーズな案内で良い印象を持ってもらいましょう!
- 出発前のあいさつ電話の例文を一挙紹介
- 突然の質問にも慌てない!よくある質問
- 良い印象をもってもらうための電話のコツ
こんなことを、記事にまとめてみました。
お客様からの添乗員の評価は、出発前のあいさつコールから始まっていると言っても過言ではありません。
事前に伝えることをしっかりまとめて、慌てることがないようにしましょう!
添乗員の出発前のあいさつ電話はお客様の特徴を探る絶好のチャンス
出発前のあいさつ電話では、現地情報を伝えたり、お客様からの質問に答えたりして、疑問や心配事を解消してツアーに出発してもらうことが目的です。
お客様とのやりとりや声の調子などから、特徴や希望をしっかり記憶に焼き付けましょう。
電話越しでも、人となりは十分に感じることができます。
「物腰が柔らかくて、優しそうな人だな…」(安心)
「自分の要望ばっかり押し付けてきて、ちょっと面倒そうだぞ…」(やばっ)
などなど、お客様の特徴をつかむ絶好のチャンスです!
お客様からの要望や特徴は、顧客リストにしっかりメモを取って、現地での対応や話題づくりに活用しましょう。
添乗員の出発前のあいさつ電話 伝えるべき3つのポイント
ズバリ、添乗員の出発前のあいさつ電話では、
- 集合時間と場所の確認
- パスポートを忘れずにお持ちいただく
- 現地情報(特に服装と両替)
この3つをきちんと伝えることが大切です。
集合時間と場所
とにかく、正しい集合場所に、集合時間までに来ていただかないことにはツアーに参加できません。
そのため、集合時間と場所を正確に伝えることが、あいさつ電話の重要なミッションです。
『旅のしおり』などの最終確定書面を見ながら、目と耳でしっかりと確認をしましょう。
お客様が集合場所に現れない「NO SHOW」は、何としても避けたい…!!
とはいえ、お客様が思い込みや勘違いをしていることだってあるのです。
- 海外旅行だから成田空港出発と思い込んでいたが、実際は羽田空港発着ツアーだった
- 離陸時間を集合時間と勘違いしていた
これは、私が実際のあいさつ電話で発覚したヒヤリハットです。
こんなこともあるんですね…
こちらから一方的に時間や場所を伝えるだけではなく、最終確定書面を見ることでお客様にも一緒に確認してもらうことがとっても大切です。
パスポートを忘れずにお持ちください
そしてこれも当たり前ですが、パスポートがなければツアーに出発できません。
忘れずにお持ちいただくように何度も伝えましょう。
その際、
- 自分のパスポートかどうか
- 有効期限のあるパスポートか(最新のものか)
この2点を必ず確認してもらってください。
噓みたいな本当の話、間違えて家族のパスポートを持ってきてしまったり、古いパスポートを持ってきてしまうお客様、いるんです。
空港で発覚すると最悪の事態になりかねません。
ここは用心に用心を重ねて、案内しておくべきです。
逆に、VISAなどを取得するために、旅行会社がパスポートを預かっている場合もあります。
その場合は、空港でお渡しする旨を伝えておきましょう。
注意したいのは、旅行会社がVISAを取得してパスポートを預かっているけど、1人だけ自分でVISAを取得してパスポートは自分が持っている、というケース。
本当はお客様が持っているのに、
「会社で預かっているので空港でお渡しします」
と伝えてしまって、取り返しのつかないことになりかけた事例…あるんです。
特にVISAが必要なツアーでは、パスポートを会社で預かっているのか、お客様の手元にあるのかを、必ず確認するようにしましょう。
現地情報(特に服装や通貨)
現地情報については
「ガイドブックや旅のしおりを見たら分かるから、そんなに詳しく話さなくていいよ」という人と、
「とにかく心配だから、あれもこれも全部聞きたい!教えて!」という人がいます。
お客様の希望に応じて対応すると良いでしょう。
これから紹介するあいさつ例文を参考に、情報をまとめておきましょう。
添乗員の出発前のあいさつ電話 例文
ここからは、実際に私が出発前のあいさつ電話で伝えたことを、例文集としてまとめます。
出発前のあいさつ電話では、次のような流れで進めていきます。
- ツアー参加のお礼
- 自己紹介(名前だけで十分)
- 最終日程表が届いているかの確認
- 当日の集合案内
- 交通手段と緊急連絡先
- パスポート持参のお願い
- ツアーの参加人数とメンバー構成
- 現地情報(服装やお金)
- 質問
それでは、さっそく例文を紹介します!
ツアー参加のお礼
もしもし。〇〇旅行会社の〇〇と申しますが、〇〇様でいらっしゃいますか?
(はい)
この度は、〇月〇日出発の〇〇ツアーにお申込みいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、今回添乗員として同行いたします、〇〇と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
出発が近づいてまいりましたので、本日はごあいさつでお電話差し上げました。少々お時間をいただいてもよろしいですか?
(あ、大丈夫です。)
ありがとうございます。
最終日程表が届いているかの確認
早速ですが、弊社からお送りした最終日程表『旅のしおり』は届いていますでしょうか。
そちらを一緒に確認しながら案内を進めていきたいと思いますので、お手元にご用意いただけますか?
(はいはい、持ってきますんで、ちょっと待ってくださいね。)
ありがとうございます。
自己紹介
あらためまして、今回の添乗員の〇〇と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
漢字が聞いただけではイメージが付かない場合や、マイナーな場合は、漢字を説明すると印象に残り、すぐに覚えてもらえますよ。
当日の集合案内
まず、出発当日の確認をお願いいたします。
当日は、〇〇空港の〇ターミナル、〇階の〇番カウンターに、〇時〇分までにお越しください。
弊社の看板を出してお待ちしております。
〇〇様も、こちらから分かるように、弊社のワッペンやステッカーを付けていただけると助かります。
聞いただけでは、勘違いや思い込みに気付けません。必ず『旅のしおり』を使って、目でも確認してもらうようにするのがポイント!
当日の交通手段と緊急連絡先
当日は、どのような交通手段で何時ころ到着予定ですか?
(電車で行くので、〇時には着くようにします。)
ありがとうございます。
当日、緊急の際に連絡がつく番号を念のため教えていただけますか?
(こちらの携帯電話で大丈夫です。)
わかりました。
もし、電車遅延などで大幅に遅れる場合がありましたら、弊社の緊急連絡先は〇〇です(〇ページに載っています)ので、ご連絡をお願いします。
- 当日のお客様の緊急連絡先を確認しておくこと。万が一、集合時間にいなかった場合に慌てずにすみます。
- 会社の緊急連絡先を伝えることも忘れずに(通常、旅のしおりに記載されているので、書かれている場所を一緒に確かめておくことが大事)。
パスポート持参のお願い
また、当日は必ずパスポートを忘れないようにお持ちいただくよう、お願いいたします。
ごくまれに、ご家族のものや古いものをお持ちになってしまう方がいますので、今一度確認をお願いいたします。
ツアーの参加人数とメンバー構成
今回は、〇〇様を含めて、おかげさまで〇名様でのご出発となりました。
男性が〇名様で女性が〇名様いらっしゃいます。
そのうち、ご夫婦が〇組様、ご友人同士が〇組様、おひとり参加の方が〇名様いらっしゃいます。
意外とお客様はメンバー構成を気にしています。特に、自分と同じ境遇(性別、年代、夫婦なのか、ひとり参加なのかなど)の人がいるのかどうかは気になるご様子。サクッと紹介できるといいですよ!
現地情報(特に服装やお金について)
ここからは、簡単に現地情報を紹介します。
まず、現地の気候ですが、最高気温が〇度くらい、最低気温が〇度くらいですので、日本の〇月くらいの気候です。
服装は【 】を目安にされると良いかと思います。
- ヨーロッパ方面:天候は変わりやすいので、雨具や羽織物は常にお持ちください。
- アジア・中近東方面:外は暑いですが、ホテルやレストランは冷房がかなり効いているので、羽織物があると便利です。
- 朝晩は冷えますので、上着があると安心です。
- 紫外線が強いので、帽子やサングラスも忘れずにお持ちください。
次に両替についてです。
現地では、クレジットカードが使えますのでお持ちになると便利です。
4ケタのPINコード入力が必要な場合があるので、事前に確認をお願いします。
食事の際の飲み物代は、現金精算をお願いすることになります。
1日当たり〇円程度を目安に両替のご用意をお願いします。
また、今回は、自由食がお昼〇回、夜〇回ございます。
レストランで食事をすると、1食あたり〇円くらいを目安にご用意されると安心です。
- 欧米:昼食3,000~5,000円、夕食10,000円前後
- アジア、中南米:昼食2,000円、夕食5,000円前後
- 飲み物代:ソフトドリンク500円、アルコール類1,000円程度
私からのご案内は以上となります。
何かご質問はありますか?
(質問に答える)
最後に、もう一度パスポートを忘れないようにご確認をお願いします。
集合は、〇〇空港の〇〇ターミナル、〇〇番カウンターに〇時〇分です。
お会いできることを楽しみにしております。
添乗員の出発前あいさつ電話 突然の質問にも慌てない!よくある質問集
ここからは、添乗員の出発前のあいさつ電話で、よくある質問と答えをQ&A形式でまとめてみました。
いろいろ質問されてドキっとすることもありますが、慌てず落ち着いて。
その場でわからないことは、適当に答えずに確認して折り返しましょう。
本当にいろんな質問されたな~
思い出しながら書いていますので、今後も追加していきます!
- 集合時間に10分ほど遅れそうなんだけど、大丈夫?
-
電車遅延などもありますので、可能であれば、電車をもう1本早めるなどして集合時間前に到着していただけると私も安心です。どうしても難しいようでしたら、万が一の際の乗り遅れ等をご了承の上で、お気をつけてお越しください。
また、集合時間になったら、ほかのお客様の対応を進めていきます。〇〇様は、後ほど対応しますのでお待ちください。
自己責任でどうぞ!というとトゲが立ってしまいます。とはいえ、万が一のリスクはしっかりと伝えるべきでしょう。
- 飛行機は通路側をお願いしたいんだけど…
-
最近は通路側を希望する方が本当に多くて…。すべてのご要望にお応えするのは難しいかもしれませんが、ほかの方とも公平になるように、可能な限り対応いたしますね。
団体予約だと、実際に通路側を確保するのは難しいこともしばしば。何とかしてあげたいけど、難しい場合もあるのでご理解くださいね!ということが伝われるといいですね。
- チップは必要なの?
-
強制ではありませんが、チップを支払う習慣があります。
ホテルであれば、気持ちよくお過ごしいただけた場合、1泊1ユーロ/ドル程度を枕銭として置いていただければと思います。自由食の際にレストランで食事をした場合は、〇%程度を上乗せしてお支払いすると良いですよ。
そのほか、何か手伝ってもらったり、サービスを受け場合は、お心づけとして500円~1,000円相当の金額をお渡しすると、スマートで相手の人にも喜ばれます。
日本はチップを支払う習慣がないので、結構悩みのタネになるようです。強制ではないからチップなのですが、気にする人は多いので、私はこんな感じで答えていました。
- お土産に〇〇を買いたいんだけど…
-
可能な限り、時間がとれるように調整してみますね。
お客様の真意としては、「ツアー中に、このお土産を買う時間を取ってほしい」というお願いであることがほとんどです。団体行動なので無理です!と切り捨てず、可能な限り捻出できるように調整してみましょう。
添乗員の出発前あいさつ電話 良い印象を持ってもらうコツ
添乗員のあいさつ電話は、出発前の疑問や不安を解消して、安心して旅行に出発してもらうことが目的です。
リサーチ不足や不手際が原因で、「この添乗員さん大丈夫か?!」とお客様に不安を残してしまっては、本末転倒。
第一印象を左右する大切な仕事です。
良い印象をもってもらって信頼関係を築くためにも、しっかりと準備してのぞみましょう。
添乗員の仕事は準備が8割。
出来る添乗員は、出発前のあいさつ電話からお客さんの心をつかんでいますよ。
明るく元気よく
顔が見えない電話越しでも、雰囲気やオーラは伝わります。
小さな声でボソボソと話す添乗員は、それだけで不安になってしまいます。
ハキハキと、明るい対応を心がけましょう!
「相手の顔が見えなくても笑顔で話す」
くらいがちょうどいいですよ♪ ←傍から見たらちょっと怪しい人
とにかくお客様の名前を呼ぶ
誰だって、自分の名前を呼ばれたら嬉しいものです。
「ネームコーリング効果」というそうです。
名前を呼ばれることで、「関心を持ってもらえている」「覚えてもらえている」と感じられ、承認欲求が刺激されるからなんだとか。
これはもう、ツアー中もとにかくお客様の名前を呼びまくるしかありません!
無意識のうちに、あなたに好感をもってもらえるはずです。
さっそく、あいさつ電話から活用してみてくださいね
- 〇〇様を含めて〇名様です。
- 〇〇様は当日、どのように集合場所にお越しになりますか?
- 〇〇様の緊急連絡先を確認させてください。 …などなど
希望・要望には、可能な限り対応する(と伝える)
お客様は、電話でありとあらゆる質問…というよりも、希望や要望を伝えてきます。
- 飛行機の席は通路側が良い
- バスは酔いやすいから前方にしてくれ
- このお土産を買いたい
- これを食べたい
- 自由時間ではここに行きたい
「ツアーは団体行動なんじゃい!わがまま言わんとってくれ~」
と喉元まで出かかっているセリフをグッと飲み込んで、優しくお伝えしましょう。
〇〇様のご希望を叶えられるように、可能な限り調整させていただきますね!!(ニコッ)
そう。
「可能な限り調整させていただきます」
なんて便利な言葉なのでしょう。
添乗中、何百回も言っているのではないかと思う万能なワンフレーズ。
もちろん、ちゃんと希望が叶えられるように現地ではアクションを起こします。
あいさつ電話では、できません!無理です!と切り捨てるのではなく、「何とかやってみます」と寄り添う姿勢が大切です。
そしてここでも、ネームコーリング効果をお忘れなく!
海外添乗員の出発前のあいさつ電話 まとめ
今回は、ツアーの前に添乗員がお客様にかけるあいさつ電話についてまとめてみました。
あいさつ電話は、出発前の不安や疑問を解消してもらうことが目的です。
自分のリサーチ不足によって、経験の浅さや未熟さ、手抜き加減が露呈してしまわないようにしたいですね。
この記事を参考に、準備していただけると嬉しいです♪
良いスタートを切って、ツアーが成功することを祈っています!
不明な点があれば、問い合わせフォームからご質問も受け付けています!